冬籠りの虫が這い出る頃と言われている「啓蟄」が過ぎ、少しずつ暖かくなってきた3月ですが、睡眠の不調に悩んでいる方がいるかもしれません。

春は元々睡眠のトラブルが起きやすい季節です。これは肝という感情をコントロールする臓腑が活発に働く季節であるからです。

 

※「カンにさわる」という言葉があるように、東洋医学で「肝(かん)」はイライラする、怒りっぽくなるなどの感情の起伏と関係している臓腑だと考えられています

 

春は気温の上昇とともに、体の中で熱をつくり出す“陽気”の働きが高まります。陽気には昇りやすいという傾向があり、身体から抜けずに上部に滞ると、のぼせたり、感情が高ぶるといった状態が続きます。

 

中国最古の医学書といわれている「黄帝内経(こうていだいけい)」には、“春は夜更かしをせずに、朝早く起きてゆっくりとしたペースで庭を散歩するのがよい”とあります。

春は23時~3時の間に寝ていることが理想だとされています。これは体の修復や臓腑の調整のため、また、体の各部署に必要な血液を蓄え、感情・思考などの活動にも大切な“血(けつ)”を蓄える、“肝(かん)”が活発に働くのが午前1~3時で、肝の働きを助ける“胆(たん)”が活発に働くのが、23~1時だからです。

 

休みの前に「寝だめ」をしても、平日の睡眠時間が4~5時間で、23時~3時の間に少ししか寝れていなければ、身体を休める睡眠にはなっていません。季節によって太陽の昇る時間・沈む時間は違うので、体もその太陽のリズムに近づける事が身体のリラックスにつながるというのが東洋医学の考え方です。

最近「よく目が覚める」「寝ても疲れが取れていない」など睡眠トラブルが続いている時は、まずは昨日よりも10分早めの就寝を合言葉に、早寝早起きを意識してみましょう。