症例:肩の痛み
50代 男性 会社員
♦症状
2ヵ月程前から右肩に違和感が出始めた。その時は痛みもないことから何もせずにそのままにしておいたが、2週間前にゴルフをした翌日から急に痛みで手が上がらなくなり、着替える事が困難になった。湿布や風呂で温めるなどケアをしてみたが痛みは変わらないため来院。
♦状態・動作確認
肩コリの自覚はないが、頚~肩にかけての筋肉の緊張が目立ち、利き手側の右肩前面(大胸筋)や右肩甲骨周囲の筋肉にも、すじばったような筋肉の緊張がある。右腕を肩と水平になる高さに上げた時(約90°)と、右手で自分の腰を掻くような動き(結帯動作)をする時に不快な痛みを感じる。
♦治療・経過
五十肩では、頚や肩周りで緊張している筋肉を柔らかく動きやすい状態に戻す治療が重要になります。デスクワークが続き、不良姿勢(猫背)が常態化すると、肩が内側に巻き込まれる体勢でかたまってしまうので、胸の筋肉(大胸筋)や腕を支える為に緊張する肩甲骨周囲の筋肉(肩甲挙筋・三角筋など)に硬いコリができやすくなります。そのコリをそのままにしておき、広く深い範囲の筋肉まで緊張させてしまうと、固まった筋肉は骨を引っ張るように身体を歪ませ、本来できるはずのスムーズな動きの妨げになります。ここで起きる不自然な肩関節の動きが続くと、関節には損傷や炎症が起こり、痛みを発生させたり、長引かせてしまう原因になります。
今回のケースではまず週2のペースで治療を4回行い、着替えの時の痛みが半分以下になったので、週1のペースに変更し、4回ほど継続した治療を行いました。この時点で違和感は残るものの日常生活に支障はなくなったので、2週に1回のペースに変更してメンテナンスを兼ねた治療を継続中です。
五十肩は人により治癒までの期間は様々で、中には何年も痛みが続く方もいらっしゃいます。今回のケースは順調に快復している症例ですが、早期に治療を始めることは治癒までの期間を短くするためにはとても大切です。「いずれ治る」でほっとかずに、鍼灸治療をお試しください。